「あれは、たしかに高級なランドセルだった…」
近所の、映画館が併設されている某モールに一歩足を踏
み入れると、前方右からランドセル姿のマネキン君とマ
ネキンちゃんの3人が出迎えてくれました。
「え、なんで?」
サンタクロースがござを敷いて、花見酒をしているくら
い、途方もなく季節感にズレのある、“お入学商戦”を
目のあたりにしたのです。
出典 http://bio-kinoko.cocolog-nifty.com/
日本国憲法にランドセル通学に関する表記はありません
が、黄色の“交通安全カバー”が必ず学校で配布される
こともあり、新1年生には必須の学用品となっています。
そのランドセル、現在3万円台のものがよく売れている
ようですが、もちろん、価格も素材もいろいろです。有
名ブランドの高級なもの、貴重な牛皮を使った高級な品、
はたまた皇室御用達のメーカーの高級ランドセルなど、
思わずためいきが出るものも。
遠い遠いむかし、父方のおばあちゃんから入学祝いのラ
ンドセルをいただきました。うちではとても買えない高
級品だわ、と嫁である母が複雑な顔をして言っていまし
たから、祖母はかなり奮発したのでしょう。
みんなも、ピカピカのランドセル。そして小学校生活が
始まりました。が、
「わたしのランドセルって……」
どうも友だちのとは違うんです。ランドセルに間違いな
いのですが、いまになって思うと、自分のが高級だった
ということなのでしょう。
「あ、すごくいい皮を使ってるわ。○○ちゃんは、高級
なランドセルを買ってもらったのねえ」
「さすが、既成品のランドセルと違って、高級感あるわ」
などなど、下校途中に近所のおばさんたちに、ほめられ
らたこともありましたが、うれしいどころか、むしろと
ても恥ずかしかった。
あいつのランドセルは高級だ! といじめられなかった
のが、せめてもの救いでした。
それでも2年、3年と使いこんでいくうちに、高級だっ
たランドセルは自然にふつうのランドセルになっていき
ました。
親(の親)の期待と高級なランドセルを背負った、なつ
かしい思い出です。
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